10年程前の25歳の時、片足がダメになった。
原チャリで走行中に歩道から飛び出してきた少女を避けたとき横転し、後続車と事故った。
ドライバーがブレーキを踏んだために、前輪は勢いのまま通過、後輪で片足をダメにされた。
頭脳労働&室内業務だったので職は残ったが、唯一の趣味であったサッカーができなくなったのは少し悲しかった。(マラドーナ世代)
少女が助かってよかったし、今後の生活が多少不便になる程度だと思い、補償のメインは「年に50万円を手渡しで受け取る」という形にした。(詳しくは伏せます)
同僚は少ない補償に怒り心頭だったが、自分ではたかが足1本と思っている。それに、その事故以来、この家庭には普通に懇意にしていただき、金や足よりもいいモノを貰っていると思っている。
父親もサッカーをたしなんでいて、昨日のCLレアル×ユベントス戦の結果で賭けたりと、少し年上だがいい呑み友達になった。(ちなみに勝った)
奥様は見合い話を持ってきてくれたりと、おばちゃんパワー全開になってきたのが恐ろしい。
少女は少女で成長し「今度女子高生送ってあげようか?宅急便で」とか、平気で冗談が言い合える仲になっていた。
今日、その家庭に遊びに行った。父親とは土曜にも遊んでたし(レアル×ユナイテッドの賭けの清算で飲み屋へ)別になんも意識せずに普通に遊びに行った。
雑談中、次の6月に少女が結婚するのを聴いた。俺は父親気分で喜んだが、ふと我に返った。
(結婚は金がかかる。この家庭から毎年50万も受け取っている。そのくせ俺は金に困ってないし、さらに仲良くしていただいている。
片足分のモンは返してもらった。むしろオマエ仲良くしていただいてありがとうって金払え。女子高生と知りあえてラッキーっていえ。って知り合ってもいないジャン。
あ、残った足もダメにするのはどう?そしたらまた10年ぐらい仲良くしてもらえるかも)
とかいろいろ思った。最後のほうパニクッた。独りツッコミとかしてたし。
その場ではいつも通り振舞えたと思う。でも家に帰ってきて、すごいいろいろ考えた。
金銭の負担とか、一緒にいて俺の足のことを常に相手に気遣わせるストレスとか、奥さんが見合い相手探してくれることとか、しょぼい俺程度を負い目に思っている(かも知れない)女の子とか。
そしたら、なんかすんげ泣けた。ごめんなさいって、ホント、すみません。そんで、こーゆーのを嗚咽というのかと思って、とりあえず書いているわけです。
ちょっと落ち着いて考えてみたが、とりあえずもう、年50万の補償は断ろうと思う。それで疎遠になってその後忘れられても、それはそれでほら、自分らのせいで片足になったヤツがいるなんて、思い出さんがいいやろ。
なんか切ないですよね…。